シンガーソングライター&プロデューサーによるblog


by ontan

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ザマアミロ!

ニュース特集 : ライブドア 堀江貴文氏逮捕


こんなことに慣れてしまうのは良く無いかもしれないが、手の平を返したようなマスコミの堀江批判はお馴染みの展開だと思う。


かつてオウムの麻原だってテレビに出てタレントまがいの活動を行なっていたし、野村サッチーだって人間性にかなり問題性のある発言をしながらも人気者だった。それが、あっという間に凋落してゆく。あまりに見慣れたことだ。


ホリエモンは時代に呼ばれた存在であったと思う。僕は彼と同世代だから、彼がああいう方向に行くのはものすごくわかる。生まれた時にはもうテレビがあって、高度成長は終わっていて、少年時代を軽薄短小な80年代に過ごし、幼い頃から偏差値という数字で切られ、小学校高学年でコンピューターに出会い、高校生の頃に冷戦が終わりアメリカ型資本主義が世界を席巻し、受験生人口の最も多い時代に大学受験で勝ち残り、社会に出ようとする前にバブルが終わり、山一証券が倒産し、これからはインターネットの時代と叫ばれた世代。熱くなるなんて損じゃない? 冷めた心を持ちながらただ「行動と結果」で周りをねじ伏せる。手段は選ばない。


悲しいことに、僕らの世代の中で「勝つ」タイプって、ああいう人だったよね。えっ、彼の「道徳」が欠けていることを批判するの? 今さらですか? この国で行なわれている道徳的批判って建て前だよね。リクルート事件を中学生の頃テレビで見たけど、政治家は普通に生き残っているじゃないか。僕らは「いじめ」世代だ。みんな友達がいじめられても何にも言わなかったよ。学校に収容されている間に道徳なんてどこかへ消えた。どこかのオヤジの作った既存のルールになんて飽きているんだ。頭のいい奴は自分でルールをプログラミングした人が勝つことを知ってしまっている。それを諦めて「名無しのその他大勢」になった方が「楽」だけどね。


本当のところ、彼のやったことをいいとか、悪いとか言えるほど、僕らの道徳的な能力は発達してない気がする。ホリエモンが捕まって、僕はなぜか無性に「ザマアミロ!」と言いたくなった。堀江に? マスコミに? 国民に? 自民党に? 自分に? よくわからない。


それ見たことか! と僕は33年分込めてつぶやく。堀江君、面白かったよ。せめて殺人には関わってないことを祈るよ。(でも僕はもうちょっと真面目にやるぞ。)


*追記:「面白い」という反応を示しているのは、僕だけでは無いようだ。
津川雅彦「ホリエモンの散り方は面白い」

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by ontan | 2006-01-30 23:58 | 主張

きれいごと言わない

ライブドアに粉飾容疑 10億円赤字を14億円黒字


ホリエモンやばいね。大体、世の中の権力取ろうと思ったらかなりエグイこともやらないといけないだろう。探り出していけば、もっとやばい会社・各種団体なんていくらでもあるはずだ。でもそういう所ほど、表面上は綺麗に見せてクリーンイメージを作ることを怠らない。


ホリエモンすごいなと僕が思ったのは、きれいごと言わないところ。「金で人の心は買える」云々の発言は批判されているが、どうせ日本人の大半は「金で買われる」ような心なんじゃないのか? それにしても、近鉄バッファローズ、ニッポン放送、衆議院選挙、世の中の「綺麗じゃない部分」をお茶の間にまでさらけ出して世論を巻き込む手法を確立したことは彼の功績(?)だろう。


今回の事件はさらけ出そうと思ったわけではないだろうが、隠すべきことが明るみになってしまったのは因果応報とでもいうべきか。さて、これは劇的なドラマのオチとなるのか、それとも起承転結の「転」くらいなのか…?

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by ontan | 2006-01-18 13:21 | 主張

どんなに貧しくても!?

「下流社会」売れているみたいだ。僕も気になっていた問題なので、読んでみた。第2章の階層の分類の仕方やネーミングについては、ちょっとセンス悪い気もしたが、共感するところもあった。特に第3章の「団塊ジュニアの下流化は進む」という部分と、第5章「自分らしさを求めるのは下流である?」という部分は、正直、他人事じゃねえぞ、と思った。ベストセラー本書けるだけあって、よく空気わかってるじゃん。


合わせて紀田順一郎「東京の下層社会」(ちくま学芸文庫)も読む。ほんの100年くらい前の日本はスラムがあって、残飯食って、娘を売ることぐらい普通のことだった。そう考えると総中流なんてごく一時の幻想であったと言われても納得だ。明らかに今の日本の政治の方向性は格差を拡大する方向に動いているように感じるし、それに抵抗すべき人間がまんまとポピュリズムにのせられて、それに歯止めをかけようともしていない。


例えばバイトしながら音楽やっている人間達は、危機感あるか? いや、ないだろうなあ。抜きん出て商業的に成功する一部の人を除いて、みんなどうなっていくことやら。「どんなに貧しい状況になっても音楽やる!」とか言ってるやつもいるけど、甘い。本当の貧しさをわかって言ってるのかな? 本当に貧しい時は音楽なんかできんと思うよ。下手したら身体ごとどこかに売られることも覚悟しなければならないだろうと思う。たとえば、食えなくて自衛軍に入るしかなくなり海外で「平和」活動中に死ぬなんてこともありうる。もちろん戦場で音楽活動はできない。



まあでも「下流社会」で述べられている小泉ー竹中ラインの未来像はさすがに明治時代のそれのようなものとは違い、

>少数のエリートが国富を稼ぎ出し、多くの大衆は、その国富を消費し、そこそこ楽しく「歌ったり踊ったり」して暮らすことで内需を拡大してくれればいい

というような感じらしいので、それが実現すれば少なくとも「歌ったり踊ったり」はできるようだが。



過去・現在とともに未来も考えてみようと思って、ハックスリー「すばらしい新世界」も読む。人間がアルファ・ベータ・ガンマ・イプシロンなどと生まれる前から分類されてそれに合わせた教育を施されている世の中。赤ん坊の頃から睡眠学習で快・不快を植え付けられコントロールされる。ソーマなる麻薬で安易な快楽を与えられ「安定」した世界。



もちろんこれはSFだが、正直言って、安易な形で快楽を与えられて喜ぶ構図は既にいろいろな所で始まっている。塾に行けない子は明らかに受験の世界では不利だろうし、教育格差だって広がる土壌は充分ある。


僕は正直言って危機感はちょっと感じている。でも、かくいう僕もまさに「自分さがしをする団塊ジュニア」なんだと思う。下流に叩き込まれたら僕は歌ってなんかいられなくなるだろうと思っている。本当の意味で自由でいるために、少なくとも自分をいかに守るか、それは真剣に考え行動していくつもりだ。ただ、やっぱり、われわれの世代が団結して抵抗して云々というのは、全く想像がつかない。それこそSFだ。格差拡大は否めないだろうな。

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by ontan | 2006-01-11 02:33 | 主張